メイマーツインズ

竜二のメイマーツインズのレビュー・感想・評価

竜二(1983年製作の映画)
4.2
【隠れた傑作⁉︎シリーズNo.30】

金子正次が自主制作、自ら脚本を書き、映画デビュー作にして、遺作となった作品。
初鑑賞。
イケイケのヤクザが、ヤクザという生き方に疑問をもち、家族との幸せを求め堅気になるという物語。

金子正次。
この”竜二〟たった一作で伝説となった男。
ふとした表情、眼光の鋭さは、演技を超越している…
名作ドラマ”とんぼ〟で主人公・英二役の長渕剛は”竜二〟に影響をうけているに違いない。ぶっきらぼうな口調や暴力性が、竜二そのものではないか…

竜二の妻役の永島暎子も素晴らしい!金子正次をしっかりと受け止め、妻、母親、そして”女〟を情感たっぷりの懐深い演技で魅せている。

この作品は、男として人間としての生き方を問う。
”刺激ある日常〟か?”平穏な幸せ〟か? 
刺激に疲れたら、平穏を。平穏に飽きてくると刺激を求める…
人間は欲深く、ないものねだり…
失って気づくこと多しで、喉元を過ぎれば熱さを忘れてしまう。
人間ってなんだかんだ自分本位な生き物なのだ…
とても考えさせられる結末で、この後の竜二は”自分らしさ〟を取り戻したものの、孤独に悩まされて苦しみ続けるのではないか…

”竜二〟公開からわずか1週間後、金子正次は竜二に命を吹き込んで旅立ち、そして伝説となった…