津軽系こけし

反逆児の津軽系こけしのレビュー・感想・評価

反逆児(1961年製作の映画)
4.2
家とはなんであったか


【初伊藤大輔作品】

🟥ダイナミックな画面と、奥行きを逃がさないショットの応酬が冴える時代劇。”時代劇の父”たる伊藤大輔が、徳川家康の不憫の嫡男”三郎康信”の悲劇を描きます。

今川、徳川、織田の血に翻弄された三郎康信の強烈な境遇が印象深い。3つの家の板挟みであったために怨嗟の積り先さながらに変じた不憫。こんな悲劇的な末路を辿った人物がいたとは知らなかった。

【ロングショットの特色】

⬛️感情の吐露などの重大な場面がほとんどロングショットで撮られているのが印象に残る。
人物の感情を描写する際には、表情・人物に迫る”クローズアップ”が一般的である。しかしこの映画のカメラはあくまでも客観的な視点で人物を遠目から俯瞰する。人物の周りや背景には必ず風景・建物の奥行きがある。その構図はまるで人間と人間の距離をあえて感じさせるような冷たさを湛えている。

🟧役者陣のお芝居がすごく熱烈だもんで終盤にかけてはその演技に飲み込まれておりました。でも最後の切腹シーンは若干ドリフっぽくて笑ってしまいました。

【まとめ】

🐴伊藤大輔作品をようやく鑑賞。悪夢的な戦場の奥行きと、ロングショットにやられました。またこの人の映画は観てみたい
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