しあつん

最高殊勲夫人のしあつんのレビュー・感想・評価

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)
4.5
・増村保造監督の作品の中ではコメディにあたるのだと思う。1959年、今から60年以上前に創られた作品とは思えない、男と女の会話が粋な感じで好きです。

・最後の二人の写真の変顔がジャケットに載っているのと、最初のクレジットで、建物の窓枠に名前を載せるのもよい。

・頭の回ってモテるゆえに、若尾文子演じる杏子が会社の嫌〜な女の子達に噂され、嫉妬される様も何故か観ていて痛快。杏子の生き様、どんなに噂されようが、常に戦略をもって生き抜く強さをもった人間になりたい。

・社会進出を目論もうとする女に向けた、男側から押される「ヒステリー」の烙印は酷いけど、女が感情をだすとヒステリーと言われ、男が感情をだすと弱虫だと言われるのは世の常なのかもしれない。

・庶民的な男だけど…と、自らの置かれた立場を逆手に取って杏子にアタックする三郎も素晴らしい。主要な登場人物は皆魅力的。経理で定年まで勤め上げたお父様も最後ちゃっかり結婚式に来ているのも可愛らしい。

・前衛書道、生花、フェンシング…これらのアイテムは、作品中は庶民的な楽しみとは真逆の、スノッブなものとして批判対象となっているように感じた。増村監督の捻くれたユーモアが現れているように思う。
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