しあつんさんの映画レビュー・感想・評価

しあつん

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モダン・タイムス(1936年製作の映画)

4.0

途中、想像してたのと何か違うと思ったけれどラストへ向けてぐんと面白くなる。歌とダンスのシーンがよい。チャップリンの表情や、スケートの芸は圧巻だし、何度も笑わせてくれながら、社会の歯車として日々働いてい>>続きを読む

陸軍中野学校(1966年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

キャスト、ストーリー展開、画面の決まり具合、尺……総合的にバランスがよい。

戦争に翻弄されていく個人の生き様、陸軍中野学校(陸軍のなかでも特異な)という組織の異質性が生み出した集団の狂気が描かれてい
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クイーン・オブ・ダイヤモンド(1991年製作の映画)

4.0

誰もがそう思うだろうが、赤ネイルが印象深い。スカルプだからか、華麗なトランプ捌きの必要なカジノディーラーの主人公には不自由が多そうで、仕事のやる気がない気だるさが伝わってくる。

最初の赤ネイルだけを
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.0

熱線など、ゴジラ自体の描写は迫力あり印象に残った。銀座が破壊されるの最高。

一方で、脚本の粗が目立つ。戦争とゴジラを絡めたかったのは分かるが、主人公の心の傷に入り込めなかったのが正直なところ。

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コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

4.0

コーヒーと煙草、それらを味わう余暇の時間が大切ということは当たり前。ただそんな時間の会話においても、出てくる人物たちが生み出してしまうピリピリとした緊張、神経質さが伝わってくる作品。会話劇がうま過ぎま>>続きを読む

からっ風野郎(1960年製作の映画)

3.0

他の増村作品でもそうしていたように黒電話が淡い水色だったり(水色電話?)、夜のネオンの看板だったりと画面のスタイリッシュさは変わらず、それ以外は三島由紀夫のライダーズジャケットと白いスーツが格好いいだ>>続きを読む

フォロウィング(1998年製作の映画)

3.5

followingという英単語が「以下〜」を表すことを念頭におけば、そのことを示した作品ということがわかるので(最初の主人公の語りでも言われていたし)あまり時系列は気にならなかった。

映像がモノクロ
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爛(ただれ)(1962年製作の映画)

4.2

・ストーリーにはいくらか突っ込みどころはあるものの、増村保造監督の切れ味が楽しめる作品。とにかく格好いいです。長い道のりになりそうだがコンプリート目指し中……

・田宮二郎演じる浅井はクズだし、さらに
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しとやかな獣(1962年製作の映画)

3.5

物語は大したことないと思うが、カメラアングルがとても面白い。ドアから出る時に人物を頭上から撮ったり、同じ家の異なる部屋を同時に写したり、人物が語り出すときにすれ違わせる手段として階段を使ったり……撮影>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.7

・オッペンハイマーの心理的な動揺、終盤のスピーチのシーンが最も印象的だが、光の白さや背面の壁の揺れや、爆発音に似た人々の足音(足での拍手?)など、彼の思考と発言の乖離がおそらくあるのだろう、と思わせる>>続きを読む

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

5.0

カウリスマキ作品を安心して観られるようになってきた。

なぜ男の子は自分の恋愛話を友達にするのが恥ずかしいのか?と思っていただが、実際そんなこともないのかもしれない。そして、女同士の本音丸出しの恋バナ
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

4.0

・全身青のドラーグ族、普通に怖いです。ドラーグ族が人類オム族を撲滅しようとして使う武器がやばいのと、ドラーグ族は死ぬ時に瞼は開きっぱなしで、眼の赤い部分が消滅するのが怖かった。

・ドラーグ族が人類オ
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100万人の娘たち(1963年製作の映画)

3.2

ラストには納得いかない。宮崎県という果物の美味しい場所が舞台であることに目が眩まされているが、一連の出来事の当事者二人が開き直っていて、勧善懲悪的な終わり方ではない。作品を通じて何を表現したかったのか>>続きを読む

恐山の女(1965年製作の映画)

3.5

吉村実子のみせる、希望と絶望の表情の差が素晴らしかった。海でのアバンチュールが良い。そしてそのシーンの川崎敬三が最高。声もいいし声かけ内容もイケメン。芥川也寸志の劇伴に乗せ、狂わされていく人間関係の行>>続きを読む

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.5

・今更ながら鑑賞。事件は起こるものの推理ものという感じではなく、人間の心理について追求しようとした作品という印象。ジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンズの演技に見惚れた。拍手を送りたい。

・ジ
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妻は告白する(1961年製作の映画)

4.6

すごく好きなテーマの作品。

法廷における真実と、実際の人の心の折り合いをどうつけていくのか…観客に問う作品好きです。

本作では刑法37条1項における「緊急避難」がテーマになってて非常に面白い。
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ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

4.0

人には秘密の一つや二つあるものなのに、好きな人の秘密を追いたがる主人公ジュリアンの未熟さだけではなく、それを隠そうとして優越性を保とうとしているクロチルドにもむかついてくる話だけども、「言葉は早すぎる>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

3.0

好きになった人は、自分がかつて好きだった人に顔がそっくりな人だった。テーマはものすごくいいはずなのに、震災や難病が要素に入ったことでごちゃごちゃしてしまった印象。ちょっと欲張りすぎた感が否めない。>>続きを読む

青空娘(1957年製作の映画)

5.0

何だこれ。まず、若尾文子可愛すぎる。

最後、この展開待ってたと言いたくなるくらいのラストすぎて言葉もでない。

時々、魚屋の哲学的名言が引用されている場面はあったものの、基本的には善良な人しか出てこ
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泥棒成金(1954年製作の映画)

3.5

・グレイス・ケリーを観るために鑑賞。花火のシーンだけ何回でも繰り返し観るために作られた作品なのだと思われる。とてもドキドキしました。

・景色、特に序盤の海の水が綺麗。

・カーチェイスのハンドル捌き
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最高殊勲夫人(1959年製作の映画)

4.5

・増村保造監督の作品の中ではコメディにあたるのだと思う。1959年、今から60年以上前に創られた作品とは思えない、男と女の会話が粋な感じで好きです。

・最後の二人の写真の変顔がジャケットに載っている
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乱れる(1964年製作の映画)

4.0

・まさにタイトル通り「乱れる」。最初から緊張感があり、登場人物の辿る運命が気になり見入ってしまいながら、観客の期待をガラッと裏切ってきた。

・戦争により夫を失い、スーパーの台頭が商店の経営に影響する
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

3.7

・5つの都市における、なんて事のないタクシーの中での出来事を描くオムニバス作品。タクシー運転手とその客の会話を中心に進むが、それぞれの物語を観終えた人をざわつかせる。

・5つの都市の小さな物語から成
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

-

トーキング・ヘッズは曲を少し聴いたことのある程度だったが、ボーカルデヴィッド・バーンの目つき、足踏み、痙攣パフォーマンスといわれる動き、大変迫力があった。声から想像するのと実際のパフォーマンスとはかな>>続きを読む

秋津温泉(1962年製作の映画)

4.5

岡田茉莉子の、寝転がって煙草を吸う姿が美しすぎる。最初は無垢な少女だった新子が精神的に参った状態の周作の名前を、彼を求めて叫んでいたのが、いつのまにか立場が逆転し、周作が新子を求め、名前を叫ぶようにな>>続きを読む

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.7

・豪華絢爛でちょっと毒々しい感じの映像世界。部屋の内装や衣装などに見入ってしまう。

・最初はレイチェル・ワイズ演じるエマのほうが優勢、親切心を彼女に小馬鹿にされていたエマ・ストーン演じるアビゲイルは
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マハゴニー(フィルム#18)(1980年製作の映画)

-

・正直難解すぎてよく分からなかったけれど、都市の映像が左右に並べられているときには人や車の出入りが中央に集まっていくので、都市の出入り口は曖昧であるのに対し、部屋の中の映像で人の出入り時には扉が使われ>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

3.3

・最初から最後まで映像が綺麗で、酔っているかのような気持ちの悪い感じを得られる。音楽もやけに大袈裟で緊張感があり、より気持ち悪さが演出される。

・森の中のダンスのシーン、狂気じみてて好き。ギターで『
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レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

3.5

・髪型と靴の形が同じなのがジワジワくる。ビール缶のシーンはかなり笑った。まさにカウリスマキの「とぼけたユーモア」なのだが、文字通り脳死で観れてしまった。

・劇中で演奏される数ある音楽の中でもBorn
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スプリング・フィーバー(2009年製作の映画)

3.5

・映像がとにかく綺麗で、手持ちカメラで撮ったふうとはいえ、不安定で猥雑な感じも好みだった。ぼんやり暗い街で光る看板のネオンをバックに人の顔がアップで映るのいいな。

・ただ、物語は私の今求めているもの
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クラッシュ(1996年製作の映画)

3.6

・自動車事故に性的な興奮を覚える人々を描く。ブッ飛んだ題材の中に、刺激を求める人間の常と愚かさ、そして実は平穏な日常の中に幸せがあるという主題が隠されていそう。

・人間は生きている限り、アクシデント
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自転車泥棒(1948年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

2回目 2024/1

・1回目観たのは約3年前。今回は国立映画アーカイブで鑑賞。

・占い師を信じている人を馬鹿にしていた主人公が、自転車を盗まれたことで占い師にすがるシーンは印象的だった。やはり貧
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めし(1951年製作の映画)

4.0

・最初に字幕で出てきた林芙美子の言葉にもあったように、ありふれた日常の話ではあるが、この物語は、現代の倦怠期夫婦でもよくある話なのだろう。

・原節子演じる主人公・三千代の言動にイライラさせられっぱな
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トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)

3.5

・もし自分の人生が誰かの手のひらの中にあったら、という思考実験。置かれた状況や環境を鵜呑みにせず、「自分の目で確かめよう」というメッセージ性を感じた。

・ただテーマに新奇さはあまり感じられず、当たり
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麦秋(1951年製作の映画)

4.2

・これまで慣れ親しんだ家族と離れ、誰とどのような結婚をするか、そもそも親に相談すべきなのか?という親子の価値観の相違が最も現れるだろうところ。紀子の本当の心は分からないが、それを側から見守る人々目線で>>続きを読む

街のあかり(2006年製作の映画)

5.0

・カウリスマキ監督の『敗者三部作』と言われているもので、これが最も良かった。ベストムービー更新しました。

・色彩の鮮やかさや、登場人物(ほとんど全員ではないか)の悠々と煙草をふかす姿、小物の細部まで
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