KAJI7

友よ、静かに瞑れのKAJI7のレビュー・感想・評価

友よ、静かに瞑れ(1985年製作の映画)
4.5
多くを語らないのに全てを物語る俳優、藤竜也の魅力が遺憾無く発揮された作品でした。
構造は要するに『桐島、部活やめるってよ』みたいな感じで、話は周りに嵌められて捕まっている「坂口」という学生時代の親友を救うべく、はるばる東京から沖縄を訪れた寡黙な男「新藤」のドラマを描いたものです。

80年代の角川映画の根幹にある台湾ニューシネマのような湿気じみた濃厚な絵造りが本当に沁みます。
赤黒くネオンに飾られたバーカウンター、ジャケットの内側に隠したソフトケースの煙草、雨の音、鬱蒼としたアロエの青。
ただカッコつけてればノワールというわけでは無い事をこの映画はよく教えてくれていると思います。昭和の雰囲気というよりは映画の中だけなのかも知れませんが、攻撃的で、人間的で、そして虚無主義的で、なんとも素敵な世界観でした。

⭐︎は4.5です。
タイトルの字面だけでもう痺れてしまいましたが、終わり方が本当に渋い。
この手の映画のせいで、静かに熱い大人の美学への憧れが膨れるだけ膨れ上がっていく…
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