みかんぼうや

狂った野獣のみかんぼうやのレビュー・感想・評価

狂った野獣(1976年製作の映画)
3.7
これはある意味、新種のコメディアクションというべきか!?渡瀬恒彦出演作品を観たくてチョイスした一本ですが、とにかく気軽に観られて単純に面白い!

短尺な作品で、バスハイジャック物というパニック系映画の王道のような設定なのに、犯人よりも関西の乗客たちのほうが個性的で強気でなかなか犯人の言うことを聞かない、という全然緊張感のない緩い雰囲気に思わずクスッと笑ってしまう。そんなコメディックな前半の雰囲気に、なんとなく舐めて観ていましたが、後半はなかなかの暴走カーアクションシーンの連続!その振り切りっぷりが素晴らしい!一体何台のパトカーとバイクを破壊したのだろう!?

「パニック下における人間のエゴとエゴのぶつかり合い」みたいなことがU-NEXTの紹介文に書かれていたので、かなりシリアスで緊張感のある作品を想像していましたが、ハイジャックされたバスのおばちゃんが犯人にキレたり、同じく乗客の中に不倫中の先生と生徒の母がいたり、挙句の果てにはなぜかチンドン屋の一行が乗っていてバスの中で演奏したり、と想像していたエゴと全然違う(笑)。乗客みんなが “狂った野獣”だ!

その後も、人間のエゴは想像と違う愉快な方向でどんどん展開していき、しっかり関西ノリなオチもつく。1時間半弱で観られる、ゆるい昭和パニックエンタメ映画。重く苦しい映画を観続けて、映画疲れした時に、軽く笑いながら観るのにちょうどいい一本です。
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