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エビータのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

エビータ(1996年製作の映画)
3.3
ブロードウェイ・ミュージカル「エビータ」をアラン・パーカー監督が映画化。
アルゼンチンの田舎町で私生児として生まれ、26歳で大統領夫人になり33歳で亡くなったエバ・ペロン(1919 - 1952)。
「サンタ・エビータ(聖母エビータ)」と民衆から慕われ国葬されたエバ・ペロンをマドンナが演じる。
原題:Evita (1996)

~他の登場人物~
・軍人、大統領ホアン・ペロン(ジョナサン・プライス)
・オペラ歌手ジミー・ネイル(アグスティン・マガルディ)

冒頭は出演映画のスクリーンに登場するエビータ本人→父の葬儀→自身の国葬シーンからスタート。
「シェルブールの雨傘」のように物語のほとんどが歌で語られる。
懸念されたアルゼンチン・ロケができたことは作品の成功に大きく寄与した。
官邸カサ・ロサダのバルコニーでマドンナが膨大な数の民衆(エキストラ)を前にして歌う「アルゼンチンよ泣かないで」(Don't cry for me Argentina)(二度)が感動的。
(オスカーを得た「ユー・マスト・ラヴ・ミー」(You Must Love Me)よりよい)

アラン・パーカー監督はエビータを聖と俗の両面を持った人物として描き、エビータの聖なる人物像に疑問を投げかける狂言回し役(チェ・ゲバラを念頭)をアントニオ・バンデラスに演じさせている。
アメリカのセックス・シンボルであったマドンナがエビータを演じたこともあり、本国アルゼンチンでは映画への拒否感情を示す人々も少なからずいたようだ。
しかし、主演のマドンナが「あれだけの人物が、聖か俗か、どちらかの面しか持っていなかったはずはないわ」と答えているように、人を(どんな人であれ)一面だけで語ることはできないし、一面しか見ないで美化(偶像化、神格化)することは危険である。
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