はぐれ

萌の朱雀のはぐれのレビュー・感想・評価

萌の朱雀(1997年製作の映画)
4.2
画面いっぱいに広がる新緑のごちそう。白飛びするほどの光線のシャワー。なんて吸引力のある画作りなんだろう。海外が求めている日本がそこにはあるし令和の今、日本人が求めている何かがそこにはある気がした。

冒頭の移動販売車に群がってあーでもないこーでもないと喋っている村人たちのリアリティーはなんですか?役者然としていない現地のみなさんの魅力的な顔、顔、顔。これを眺めているだけで映画が終わってもいいかなーなんて思ってしまう。あとはもう蛇足の範囲かも。

障子を開けた先に広がる名もなき山々の絶景。日本家屋ってなんて機能的でオープンマインドなんだろう。改めてその懐の深さに気付かされる。
ロケーションも奇跡的な所ばかり。この手の山岳地帯を舞台にした作品で他に集落の全く見えない主人公の家なんて初めて見た。

まるで添え物のような趣きすらある淡くて切ない主人公たちの恋の話もいいよね。人間の感情の起伏なんてこれくらいが丁度いいし、これくらいの味付けの方が身体の奥深くまで染み入る。幼なじみから夜分に急に誘われて屋根の上によじ登りたかった😢

今まで何故か避け続けていた河瀬直美監督作。これからちょっと追いかけてみよう。
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