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ポチの告白のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ポチの告白(2006年製作の映画)
4.8
交番勤務の巡査・武田は、いわゆるノンキャリアの、そのまじめで実直な性格から、地域からも信頼される「お巡りさん」。先輩警官が無理な駐禁をとって「点数稼ぎ」をしたり、道を聞いてきた女の子の連絡先を執拗に聞いたりするのを、真面目に窘めるような男。
そんな彼がある日、刑事課長の三枝は取り立て、刑事へと昇進させる。
三枝は社宅へも入れるように取り計らい、武田は身重の妻ともども居を移す。義理堅い武田は当然三枝に感謝し、その後彼に忠誠を誓って刑事として、彼の支持する業務を全うしていく。
刑事になり、武田は局長と同じ銘柄の煙草を吸い始める。さらに生まれてきた娘には、妻の反対を押し切り三枝の初恋の女の子の名前を付ける。
そうして刑事に染まっていく武田に、妻・千代子は違和感を持つようになる。そんな折、とある麻薬中毒者の立てこもり事件が発覚。
三枝の確保の命を受けて現場に急行した武田は、刃物を振り回す犯人を何とかおびき出そうと、麻薬を餌にしてしまう。
運悪く、その場面をチンピラの草間に抑えられた武田は、三枝から事件の揉み消しを命じられる。
草間は写真を雑誌社や新聞社に売り込もうとしますが、どこも取り合ってくれない。
新聞社のカメラマンの北村を脅し、なんとか武田に会うことが叶うが、取調室で執拗に暴力を受け、あえなく退散する。
勿論取調室での暴力は違法だが、立証する人間がいない。負けん気の強い草間と北村は、この件を境に本気で警察の不正を暴こうと繰り出す。一方、しっかりと警察の犬になり下がった武田は、三枝の命であらゆる違法行為に手を出すようになっていた。
ヤクザの麻薬を見逃す代わりに拳銃を上げさせろという裏取引、未成年者の売春を見逃して金銭を受け取る、架空の請求書を書いて裏金を作るなど、とても市民が信じられる警察とは真逆な業務の連続に、心を痛めなくなっていた。
武田に訪れた悲惨な運命とは?
寺澤有のルポを元に、日本警察の暗部を描いた衝撃作。
真っ直ぐな警察官の武田が上司の命令に盲目的に従っていく中で、麻薬取り引きを見逃すかわりに摘発のノルマ達成のためにヤクザに銃を用意させる、捜査協力費の架空請求による裏金作りなどの警察犯罪に手を染める過程を丁寧に描きつつ、マスコミも記者クラブからもらう警察の公式発表を垂れ流し警察に都合の悪い事実は黙殺する弱腰を同時に描いた衝撃作。警察権力を使い昔のいじめっこを職務質問して取調室でリンチしたり、警察の犯罪を調べているマスコミをヤクザを使い口封じする描写は、背筋が凍りました。ラストの留置場での武田が想いのたけをぶちまけるシーンは、組織に使い棄てられる警察官の悲惨さが強く描かれています。
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