Stroszek

魔術師のStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

魔術師(1958年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

魔術師ヴォーグレルとその一座が、ある町の貴族の屋敷で芸を披露することになる。

ソフィーアの座長への、奥方のヴォーグレルへの、メイドの御者への、といった風に、男性に女性が向ける性欲を割とストレートに描いた部分は艶笑劇のよう(魔女のような座付き老婆が媚薬を売って大儲けしている設定もある)。しかしヴォーグレルが物語後半まで話せないていを押し通すところや、どうしてそうするのか妻との会話で示唆するところなどはミステリーのようでもある。

パトロンである貴族や大公へのヴォーグレルの嫌悪が印象に残る。彼の一座に圧をかける権力を握る体制側の傲慢をこれでもかと描いている。力技の空中浮遊を暴いたあと、警察署長が拍手をするときに見せるおちょくったような表情が絶妙であった。

そのようにして芸風を馬鹿にされてきた彼らが、期せずして死体を手に入れ、一世一代のサプライズを見せる仕掛けは魔術師の面目躍如だ。

屋根裏部屋で検察医を脅す場面がハイライト。ライティングの使い方が効果的。ヴォーグレルの姿が黒い影になり表情がよく見えないというホラー演出。

「より大きな権力(王様のお達し)によりヴォーグレルの罪が不問にふされ、馬車を駆ってスウェーデン王室に向かう」という喜劇的エンディングは、ショー・マスト・ゴー・オンという感じだ。
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