半兵衛

日本海大海戦 海ゆかばの半兵衛のレビュー・感想・評価

日本海大海戦 海ゆかば(1983年製作の映画)
2.5
『大日本帝国』からわずか一年で映画のスタイルが変わっているのに驚き、前作はまだ本格的な歴史映画の趣があったのに本作では日露戦争や戦艦での戦闘といった歴史的背景が沖田浩之と三原順子という当時絶大な人気のあった役者を引き立てる道具になっていて一種のアイドル映画に。実際このあとの映画はアイドルメインの作品が多くなってくるので映画の流れに目ざとい娯楽職人・舛田利雄監督の勘は冴えているが、戦争とアイドルという組み合わせによるドラマや映画が濫造されていくことを思うと複雑。

そうした舛田監督の方向性の転換や予算が縮小したことが影響したのか、作風も前二作と違い小ぢんまりとしており歴史の羅列と主人公のドラマが全く絡まないので見ていてモヤモヤする。「日本人の役者は新人でも兵隊と娼婦がよく似合う」というセオリーに従って作られたような主役二人の恋愛ドラマは今となってはどういう心持ちで見ればいいのか戸惑ってしまう。

それでも兵士や軍人の描写は監督やスタッフに体験者がいるためかリアリティがあり、90年代以降の戦争映画の差はこういうところが大きいのかと思ったりする。

それにしてもプロの役者ではないはずなのに達者なガッツ石松のバイプレーヤーっぷりに感嘆。
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