荒野の狼

椿三十郎の荒野の狼のレビュー・感想・評価

椿三十郎(1962年製作の映画)
5.0
黒澤明というと古くて堅い映画で、構えて見なくてはと考える人も多いかと思いますが、この映画は全くの娯楽映画として楽しめます。加山雄三と田中邦衛を中心とする若手の家老派と悪役の大目付派の対立に、それぞれ三船敏郎と仲代達也が、用心棒のような役回りで加担する構図です。
三船の立ち回りもありますが、魅力はむしろ、双方の策を練った騙し合いで、数的に、絶対不利な形勢にある加山側を三船がどういう策で助けていくかかが、コミカルに描かれていますので、時代劇とかチャンバラ映画が苦手という人も楽しめます。
三船の立ち回りの見事さは、むしろ予告編で、3人の相手を数秒で片付けてしまうシーンでみられますので、こちらも注目(本編では、同じシーンが別の角度で撮影されたものが使われています)。仲代は、殺陣のシーンがほとんどないにも関わらず、画面に登場するだけで圧倒的な迫力。ラストの三船との対決に期待が集まりますが、気をつけたいのは、この二人の対決の一部始終が販売されているDVDなどの裏ジャケットにその描写が写真付きで掲載されていること。短い映画ですし、このシーンは、映画史に残るものですので、裏ジャケットは、映画の鑑賞後に見られることを勧めます。DVDの製作者は、写真や商品説明に配慮が欲しいところです。
荒野の狼

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