掛谷拓也

ゆきゆきて、神軍の掛谷拓也のレビュー・感想・評価

ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)
3.1
80年代後半に一度、90年代後半に一度見ようと決意したが果たせずやっと見た。当時、戦争犯罪を何十年も暴力で断罪し続ける奥崎謙三というイメージしか持たなかったので、見ようという気持ちになるまで時間がかかった。ドキュメンタリーが進むと実は終戦後復員するまでに起こった事件が問題とされ、人肉食が関わっているとわかる。「ひかりごけ」はテーマが文学的に昇華されていた記憶があるが、ドキュメンタリーは直接的で生々しい。真実を追求するためとはいえ、いまこんなゲバルトが支持されるとは思わないが70年代や80年代には支持されていたのだろうか。見た数日後に思い出すに、奥崎謙三は確信犯なので別にして、奥崎に激詰めされていた元同じ連帯の上官たちの心情が気になる。彼らはこのドキュメンタリーが実名で公開されることを承諾したんだろうか。いくら監督に口説かれても承諾するような内容ではない。