ちろる

ウェールズの山のちろるのレビュー・感想・評価

ウェールズの山(1995年製作の映画)
4.0
地味でシンプルだけど非常に温もりが感じられるお話だった。
なにもないウェールズ地方にある小さな山フェノン ガウル。イギリスの地図を作る上で正式名称を山なのか、それとも丘にするのかイングランド人の測量士が計測しにやってくる。
山から丘か?小さな村にはこの山しかなくて、これが山だと認められなきゃ死活問題な訳です。
え、それだけ?ってつい思っちゃうんですが、やっぱ私たちだって自分の都市の名産物がなんだとか言ってることあるしなんとなくこの事がプライドをかけた測量士との小さな戦いとなるのはわかります笑
そしてイングランド人測量士として登場するヒューグランド。
まだ若くて優男風味がこの柔らかい役柄にぴったりで、好感触。
主人公でありながらあくまで傍観者として村人のコミカルな生き様を静かに見つめるスタンスなので、特に彼の役は印象には残らないのですが、それでもこの役は彼で良かった。
老若男女問わず村人たちの淡々と土を運ぶ姿は、神に祈る姿にも似て神聖に見えた。
それはきっとバラバラになりかけた村人が一体となることを神が望んでいたからなのだろう。
大体こんな風なラストだろうなぁと先が見えていたのだけど、予想からは上をいく神話のような感動ストーリーとなっていったのは意外だった。
日本人の心にもどこか繋がりそうなこじんまりとして優しいお話です。
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