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最後の脱出のotomisanのレビュー・感想・評価

最後の脱出(1970年製作の映画)
4.4
 カムイ伝と並んで重荷になった。半世紀してまた見ようとは。あの当時親父の言ったことで、アングロサクソンの強みがよく出ていると。強力な国家体制を作れる一方で、危機に至れば、家族や使える者だけで固まって生存競争に臨む覚悟を短期に決められるのだと。よって、同族だろうと知人も軍人も果ては兄弟も標的に戦えるのだと。こうあればこそ世界中に植民地を設け、戦闘を仕掛け現地民に不和の種をまき、上りを多方面に投じ新しい発展の局面を先取りできたのだと。同じ種が合衆国にもあり、その従属国が日本であることが安心なのか不安なのか当分は分からない。対して日本はどうだと思う?
 同じで無ければ対抗できないか、違うやり方で反攻できるか? 当時、見てる方まで戦闘態勢になってしまい、それ以上の答えが見つからなかった。親父も同様だった。実に、お前ならどうすると突き付けてくるような物語だった。これを嫌うなら避ける道を考えろ。これが主題だ。
 なるほどと思う一方で、生き残っていく人の心中にまだ残っている贖罪や道徳の再興の意識がいつまでも残り続けるんだろうか? と、別の不安も覚えたものだ。今なら冷酷に心配ないと応じられるつもりだ。当時は子供で、明るいような暗い時代だった。到底大人の助言なしには見せられないが、この半世紀安穏と過ごして来れた身としても、見て無駄にならない映画だと思っている。つくづく見て役立つ事が無いようにと思う。
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