あんなことになったのは40年も前。ホワイト・クリスマスの歌に記されたような懐かしいよろこびとは裏腹な家族の第二の破綻に際して、私は父を選び、弟マチュウは新しい家族を選んでしまった。
あのときはまだそうとは気づかなかったけれど、それでもあの晩、私は父と早くあの場所から遠退きたかった。通りすがりに頼んで走らない車を押してもらって、やっと現れたサンタのギルバートさんにも加勢してもらって、あれほどのプレゼントはなかった。
でも彼をサンタと呼ばず独り者の「ギルバート」と呼んで、彼が遅れなければマチュウも覚悟が決まったはずで、と思うと、あの晩、私たち一家には運命というプレゼントが下されたのだろう。
あの晩以来広がったひび割れを誰を憎むのでもないのにふさぎきれないままこの日を迎えてしまった。そんな懐かしいあの日の父の面影を誰と分かち合えるだろう。