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さらば愛しき大地のGattのレビュー・感想・評価

さらば愛しき大地(1982年製作の映画)
3.9
80年代前半はドラマでも「覚醒剤」が良く取り上げられてた印象があります。
CMから「人間辞めますか?それとも‥」とか、低学年児童だったけど、ふざけて言ってたもんね。
この作品も、堕ちていく男の末路を描いている。

因みに今、91年の大河ドラマ「太平記」(真田広之主演) を見ています。新田義貞役の根津甚八さん(当時44歳ぐらい)が渋くてカッコよくて、前からclipしてたこの作品を観てみる事にしました。35歳の時の主演作品。
2010年療養の為引退され、2016年に亡くなられているんですね。

舞台は茨城県。
元々気性の荒い幸雄(根津甚八)だったが、妻が家で居眠りをしているうちに、可愛がっていた息子2人が溺死してしまう。戒名を身体に彫りこみ、妻を引き摺り回す日々に、行きつけのスナックで働く順子(秋吉久美子)との不倫が始まる。
自由で親の愛を受けた次男の明彦への嫉妬。
農家では足りない食いぶちを賄う為、ダンプでも稼いでいた幸雄だが、精神の維持増強に覚醒剤を使用するようになっていく。

蟹江敬三演じる友人の家での幻覚と被害妄想シーンはゾクっとした。
根津さんの堕ちていく演技、呆気にとられます。
「太平記」の渋い甚八さんとは違う、暴走した闇の部分。各種映画賞でも評価されたそうです。

秋吉久美子さんお美しい。小さい時はあの魅力わからなかったんだけど、可愛いくも気怠さがあって、陰もある。素晴らしい。

田舎にも根強く残る長子の風習と、男尊発言が強いので、ちょっと苦手な人もいるかも。
でも、これが、本当に虚勢を張ってしまう悲しい男の姿なのだと思いました。

昭和あるあるw「ちゃぶ台返し」も見られます。
最初の辺りの茨城弁が聞き取れなくて、0.8倍速に落として聞き直したのは内緒w
Gatt

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