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生きものの記録のkazu1961のレビュー・感想・評価

生きものの記録(1955年製作の映画)
4.2
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2021-668 再鑑賞
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋黒澤明が正面から反核を描いた作品。三船敏郎のエキセントリックな演技と、強烈なインパクトと余韻を残したラストが心にずっしりと重たさを残します。『黒い雨』(1989)と並んで反核映画としては最高峰の作品ではないでしょうか?!

🖋作品が作られた時代背景、米ソの核軍備競争やビキニ環礁での第五福竜丸被爆事件などで目一杯加熱した反核世相に触発され、原水爆の恐怖を真正面からとらえた異色の黒澤作品。『ゴジラ』もこのような世相で作られましたが、その翌年に本作は作られました。“既に起きると分かっている危機からどうして逃れようとしないのか!!”こんなメッセージがズシンと伝わってきます。

🖋そして主人公の原水爆の恐怖に取り憑かれた60歳の老人を演じたのは、当時35歳の三船敏郎。モノクロに助けられてる感はありますが、それでもその特殊メイクの素晴らしさや、三船敏郎のなり切ったエキセントリックな演技が心に残ります。当時50歳の志村喬の横に並んでも全く違和感のない演技はさすが三船敏郎です。

🖋そして前述の強烈なインパクトを残したエンディング。ここでも三船敏郎演じる老人の原水爆に取り憑かれた哀れさと同時に共感せざるを得ない恐怖の事実、そして良いを残すラスト。。。これらがより間接的に原水爆の怖さを考えさせられます。

🖋時代的には“早すぎた傑作”。興行的には芳しくなかったようです。なので、黒澤監督自身も「自身の映画の中で唯一赤字だった」と語っていて、その理由について「日本人が現実を直視出来なかったからではないか」と分析しているんですね。(参考:Wikipedia)

😨Story:(参考:allcinema )
町工場を経営する財産家・中島喜一は突然、原水爆とその放射能に対して強い恐怖を抱くようになり、地球上で唯一安全と思われる南米ブラジルへの親類縁者全員の移住を計画する。しかし、このあまりにも突拍子もない行動...

🔸Database🔸
・邦題 :『生きものの記録』
・原題 : ※※※
・製作国 : 日本
・初公開 : 1955
・日本公開 : 1955/11/22
・上映時間 : 103分
・受賞 : ※※※
・監督 : 黒澤明
・脚本 : 橋本忍、小國英雄、黒澤明
・原作 : ※※※
・撮影 : 中井朝一
・音楽 : 早坂文雄
・出演 : 三船敏郎、清水将夫、千秋実、青山京子、志村喬、三好栄子、東野英治郎、千石規子

🔸Overview (参考:映画. com)🔸
一貫して反戦を訴え続けた黒澤明監督が、原水爆の恐怖を真正面から取り上げた異色のヒューマン・ドラマ。町工場を経営する中島喜一は原水爆の実験に脅威を感じ、地球上で安全な場所は南米しかないと考え、家族にも相談しないで南米への移住を計画。しかし息子たちは父の計画に猛反対し、中島を裁判にかける。次第に孤独に追い込まれていく中島がとった行動は・・・。当時35才の三船敏郎が、メイクによりみごとに70過ぎの老人を熱演。
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