言葉じゃ言い表せない凄みのある映画だった。
当時35歳で70歳の老人を演じた三船敏郎、物語が進んでいくにつれて変貌していく様がリアル過ぎて、本当に痛々しい。
原水爆の恐怖に取り憑かれ、家族の身の安全を第一に考えることに固執して、向こう見ずで暴走する頑固親父でもあるが、どうしてもブラジルに行ってくれと懇願する姿に、なぜか涙が出てしまった。
周りは相続だの遺産のことばっかり話してんのにね。
「狂っているのはあの患者なのか、こんな時世に正気でいられる我々なのか」
今でも似たような恐怖はある。ウクライナ戦争、北朝鮮のミサイル、原発の再稼働、核戦争の未来だって全否定はできない。
のうのうと生きてしまっている自分に気付かされ、たいへん刺激を受けました。
2022.11.23