スギノイチ

生きものの記録のスギノイチのレビュー・感想・評価

生きものの記録(1955年製作の映画)
4.2
三船敏郎演じる父親は一見いかにも家長的な人物に見えるが、「命さえあれば金が無くともどこでも生きていける」という考え方といい、本家も妾一家も同等に扱おうという姿勢といい、家と既存環境に固執する息子たちよりよほど進歩的に見える。

それにしても本作の三船敏郎。
前年に菊千代を、同年に宮本武蔵を演じているとは思えない。
水爆の新聞記事を読んで「馬鹿なモノ作りやがって!」と憤怒する姿と、己の財産に火をつけた終盤の呆けた姿。いち作品内ですら同一人物に見えない。
いつもの無頼系も良いが、名演という意味ではこれがベストと思う。
スギノイチ

スギノイチ