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男はつらいよ 寅次郎物語のmatchypotterのレビュー・感想・評価

男はつらいよ 寅次郎物語(1987年製作の映画)
4.1
ついに次は40作目か、最近ちょっとペースを上げているが、ここまで来ると逆に妙に哀愁漂ってきて寂しくなる。

『男はつらいよ』シリーズ、第39作目。
“寅次郎物語”。今回も心温まるとっても素敵な旅物語だった。

いつまで経っても変わらないこの団子屋、とら屋。
さくらちゃん、すっかり母親になった。みつお、吉岡秀隆もすっかり青年になった。

前回なくなったからもうないのかと思ってたら冒頭の夢物語復活。
しかし、寅さんの“語り”が入るパターン。
その夢物語も寅さんの幼い頃の家出の話。妹思いの兄ちゃんが偉い兄貴になるために。

今回は“親子”と“家出”。
今でも毎回家出みたいな商売している寅さん。
そんな出張ってる寅さんの留守中に、寅さんを頼って身寄りのない少年“秀吉”が1人、とら屋を訪ねてくる。

とりあえずバタバタと預かっていると、帰ってくる、寅さん。
秀吉の身の上を知る寅さんが、一念発起で思い立つ。

「“蛇の道は蛇”って言ってな、こういう稼業だからわかることもあってもんだよ」

と、息巻いて始まる、、、“母をたずねて三千里”。

今回は、親と子の形や悩み。
前回もそうだったけど、時代や寅さんやとら屋の連中の重ねた年月を経て、他人のそう言ったところにスッと入っていく寅さんの義理人情がとても暖かく感じる。

大阪天王寺の交番でいつもとら屋でやる語りが始まり、安宿で霊前を前に故人に語る彼の台詞が寅さんならではの渡世人らしい口上の数々。

こんなおっさんに付き合わされて振り回されながら母を探す秀吉。
行く宛を見つけては飛び込み、外れては手掛かり探してはまた次へ、、、。

勢いとその場をやり過ごすスキルだけの寅さんだけど、親がいなくて心細く行く宛もない痛いけな少年にとっては迷惑半分、心強さ半分、か。

そんな中、ドタバタ母親探しの旅に疲れて秀吉が倒れる。こんな時に看病にアタフタする寅さんととんでもないコンビネーションを発揮する今回のマドンナ、秋吉久美子。

宿の隣の部屋に泊まってただけでバタバタしてた寅さん達に手を貸す“かあさん”秋吉久美子と、“とうさん”寅さん。

秋吉久美子の優しい言葉と屈託のない笑顔。めちゃくちゃ綺麗。
、、、わかるよ、“とうさん”、いや、寅さん、わかるよ。

ここから寅さんの舵切りがやはり寅さん。
“母親探し”か“かあさん”か、、、わかるよ、寅さん。

この寅さんと秋吉久美子の宿での距離感ややり取りがすごく素敵、、、な寝小便、らしくて笑う。

笹野武史、再び、の再び。
このシリーズはちょこちょこ良いキャラクターが全く別の役所でまた出てくるのがとてもお茶目。
確かこの伊勢志摩のタクシーの運転手も前作の漁師。

五月みどりも出てきた瞬間に画面に映えちゃうスターっぷりにもたまげるが、この“母をたずねて三千里”、寅さんらしい別れの口上、珍しく泣かせにくるじゃないか。

「お前は父親や俺みたいな男になりてぇか」
『寅次郎物語』、、、なるほど、合点がいったよ。

最後のとら屋の2階でのさくらちゃんとの会話とみつおとの柴又駅での会話、そしてラストシーン、、、、これが、渡世人の辛いところであります。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
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別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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