kazu1961

世界大戦争のkazu1961のレビュー・感想・評価

世界大戦争(1961年製作の映画)
3.8
▪️Title : 「世界大戦争」
Original Title :※※※
▪️First Release Year:1961
▪️JP Release Date :1961/10/03
▪️Production Country:日本
🏆Main Awards :※※※
▪️Appreciation Record :2020-370 再鑑賞
🕰Running Time:110分
▪️My Review
“平和を粗末にしちゃあいけねぇ” “ボタン一つ押すだけで取り返しのつかないない世界になるんだ”。。。
市井の人たちの生活が国際情勢に与える影響は何一つない一方で、国際情勢はその悪化に応じて市井の人たちの生活を否応なく変化させていくというところが悲劇的で、その人たちの姿を巧みに描き、核戦争に警鐘を鳴らしているそのメッセージ性をも同時に描いています。SFっぽい題名からは思いもよらない素晴らしい人間ドラマです。
ストーリーは大きく二つのプロット、主人公茂吉たちが東京で慎ましやかな幸せな生活を送る風景と、特撮をふんだんに用いた国際情勢に分割されています。
前半のプロットでは、茂吉たちは日々の生活、仕事を楽しみ、家族や恋人との愛を育み、普通の生活を営み「戦争なんて二度と起こらない」と信じ切っています。その普段の生活が日常であればある程、後半のプロットが理不尽な運命をもたらしていくことに衝撃を受けます。
本作、は1961年に公開された特撮映画で、当時の国際情勢を背景に制作された反戦映画です。二分化された緊張する国際関係と、そことはかけ離れた場所で生活する市井の人びとの姿を巧みに描き、核戦争に警鐘を鳴らす内容となっています。戦闘機や戦艦は殆どが特撮で描かれており、特技監督を円谷英二が務め、円谷らしい特撮技術がふんだんに盛り込まれています。

その特撮、東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、モスクワが核ミサイルによって破壊されるクライマックスシーンは、天地を逆にしたミニチュアの下から圧縮空気を吹き出させる方法で撮影されました。このシーンの映像は完成度が高く、その後も『ノストラダムスの大予言』などの劇場用作品のほか、円谷プロ制作のテレビ番組『ウルトラセブン』最終話「史上最大の侵略(後編)」など、さまざまな作品に流用されました。(参考:Wikipedia)

主演は、フランキー堺。理不尽な運命に翻弄される平凡な小市民を熱演しています。
物語は。。。
主人公・田村家にはささやかな幸せが訪れようとしていました。しかし東西の緊張は極限に達し、平和会議もむなしく、ついにICBMは地上を飛び立ちます。人類の未来を失わせる世界戦争が始まったのです。。。
“あんた、いい父ちゃんだよ”田村家の最期の晩餐。。。胸に沁みます。
タイトルこそ特撮SF映画ではあるものの、『世界大戦争』が告げるメッセージ性、円谷の特撮技術が結集した衝撃のラストシーンなど、現代から見ても学ぶべきものは多いと思います。

▪️Overview
「東京夜話」の八住利雄と「大坂城物語」の木村武の共同オリジナルで、「続社長道中記 女親分対決の巻」の松林宗恵が監督。撮影は「香港の夜」の西垣六郎。なお円谷英二が特技部門の監督を受持っている。パースペクタ立体音響。(参考:映画.com)

出演は、フランキー堺、宝田明、乙羽信子、星由里子、山村聡。
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