大橋直樹

エリ・エリ・レマ・サバクタニの大橋直樹のレビュー・感想・評価

4.3
とてもとても難しくて言葉として今の気持ちを書く事が難しいんだけどこれをつまらないとは言えない
劇中で演奏される音楽がそうであるようにぐちゃくちゃな世界の中から美しいものを探し出そうと探求する面白さがあります
僕自身青山監督には大学時代に少しだけお世話になり半年弱授業を受けさせていただき、その授業の半分ほどが過ぎたタイミングで体調不良を理由に教職を引退され僕が大学を卒業してしばらくして訃報を聞く事となりました
今作は死が物語の中心に据えられている事もありなんとも物悲しい気持ちになる瞬間もありました
死ぬまでに何ができるのか、何を残せるのかという見え方でしたので青山さんがこの映画を残してくれて僕が今拝見できたのは公私が混同し、しかし嬉しい気持ちの方が多かったかもしれません
無為に生き何も残す事ができず死んでしまうかもしれないこの世の中で僕は今の自分を映像に残してもらっているし、過去の自分を見直す事もできます
カメラが溢れて撮る撮られるが特別でなくなったこの時代にもう一度残るありがたさを確認できたのはありがたい事でした
画角、風景は美しく音楽は重く心臓を掴まれる気持ちです
僕の見え方ですが数字や単一的な基準で評価されてしまう事がより露見している社会で本当にそれで正しいのかと疑問を投げかけられたような気持ちになりました
演奏シーンは混沌としていて特にバイオリンの弓の所は完全にオナニーだった
平然とオナニーを写してしまっている恐ろしさ、どういうフェチズムなんだろうか
もっと勉強したかったです
大橋直樹

大橋直樹