とり

時をかける少女のとりのレビュー・感想・評価

時をかける少女(2010年製作の映画)
3.5
主役の仲里依紗はまだ無名に近かった頃だと思う。
なかなかいい感じに現代っこっぽくって、頭もそれなりに良さそうで、いいんじゃないですか、これは。
オリジナルの原田の学芸会演技に比べたら神。
時代を超えたせつない恋愛物語っていうのも普遍的で、よっぽどのことがない限りハズさないでしょう。
でも、ちょっぴり…成長物語としてはもの足りない。この春から大学生っていう年齢設定も関係してると思う。
大学生というと体はもう成長しきっていて、ほぼ大人ですから。
原田の時は確か中学生だったはずで、あの年頃の不安定感は映画のテーマとしては大きい。
あと時代背景。当時はたいへんな高度成長期で、日本の未来は明るかった。
学校も親も体当たりの熱い時代だった。
今はどうか。経済は衰退する一方でしかも少子化。若い人にとっては未来は暗い。
ついでに言うと、オリジナルは舞台が尾道だったというのが素晴らしすぎた。
本作は、世田谷やら新宿やら、はっきりいって味気ない。まったくない!
この映画がずっとあとになっても語り継がれるかというと、そんなことはないと思うし、少年少女がリアルタイムでこれを観たからといって、いつまでも心に残るかというとそれもなさそう。
心の原風景というのか、「時代感」というものが決定的に欠けているのは、今のご時世しょうがないのかなぁ。
ただなんとなく、いわゆる”時かけ”風の映画が観たいというなら、間違いなく楽しめる良心的な作品ではあると思います。
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