猛烈にサム・フリークス臭がする、いつ上映に組み込まれてもおかしくないし『トーチソング・トリロジー』見逃した方はとりあえず猛烈に鑑賞ハードルの低いこちらからどうだろうかな感じ。自身のセクシュアリティに自覚的なナードボーイのスティーヴンが恋をした相手は学年一のスーパースターのジョン、実は彼もゲイであり二人は急接近していくのだが…といかにもBL的なストーリーだが、最後にはしっかり胸を打つメッセージが込められていく。ジョンは徐々に自身のセクシュアリティに向き合っていく事になるのだが、どうしてもホモソーシャルの、かつスクールカーストの長としてヘテロで無くてはならないとの強迫観念に押しつぶされそうになる。彼を愛している、でもバレたくないし皆の前ではスターでありたい、そんな相反する思いの中でも関係性を深めていく二人。スティーヴンの最大の理解者であるリンダ、彼にフラれながらも彼の孤独に寄り添う存在となるジェニの存在も見逃すわけにはいかない。どの様なジェンダー、セクシュアリティに属していようとも当たり前に人間である、この揺るがし様の無い事実をまず皆の心に刻むには、これくらいの軽さがあった方が丁度いいと思う。『フェイブルマンズ』をクィアな物語として捉えるならばこれを元ネタと見ることも可能かと。
