似太郎

二十四の瞳の似太郎のレビュー・感想・評価

二十四の瞳(1954年製作の映画)
4.8
高峰秀子が演じるしっかり者の大石先生の懸命に生きる姿が胸を打つ、木下恵介監督による反戦映画の古典。あまりにも気高い人間ドラマであり自然の情緒を感じさせる小豆島のロケーションも絶品。

木下監督は戦前→戦中→戦後に渡る日本人の精神性の高さを敢えて描きたかったのだと思う。戦争映画なのになぜか悪人が一人も出てこない映画で、木下的ビジョンは「悪人は最初から一人もいない」なのだから仕方ないと言えば仕方ない。

今改めて観ると、徐々に日本が戦争に突入していくプロセスが現代にもズシリと響きリアルな感じがする。じわじわと日本が戦争に向かっていくホラー映画のような雰囲気がある。大石先生の教え子が徴兵に取られていく辺りは悲痛そのもの。

戦争が終わった後の生徒との再会シーンで涙腺決壊。😭『この世界の片隅に』の元祖とも言える超名作。
似太郎

似太郎