不況で解雇され苦境に陥った夫婦が、再起をかけて奮闘する話。
アキ・カウリスマキの作品は『希望のかなた』しか観たことがないが、これが非常に好きで前々からもっと観たいと思っていた。
本作も素晴らしい作品だった。
クセがあるのに、押し付けがましさや狙った感がなく、ストレートに心に響く。
キャラクターの感情表現が薄く、全体的には無機質でシュールなトーンなのに、ストーリーがめちゃくちゃ温かい。
彼の作品に登場する人々の姿からは、生きる希望や友情が深く感じられる。
絶妙なチグハグ感が良いのだと思う。
主人公たちが立て続けに不幸に見舞われても、シュールな空気があるから辛気臭くならない。
キャラクターは無表情なのに、音楽は情感豊か。
映像は基本的に無機質だが、随所に色彩や陰影が取り入れられていて美しい。
とにかく全てが絶妙すぎる。
映画撮る才能やばい。