けーはち

脱獄広島殺人囚のけーはちのレビュー・感想・評価

脱獄広島殺人囚(1974年製作の映画)
3.8
度重なる脱獄、獄中で殺しを重ねて合計懲役40年以上もくらった大悪漢を松方弘樹が演る戦後実録ヤクザもの。何が事実だか何が脚色だかは知らないが凄まじくキャラが立った大悪党。とにかく何度も様々な方法で脱獄しては捕まってを繰り返すめげない精神力もさることながら、彼が殺すのはヤクの売人、絡んで来たヤクザ、未遂の相手も非道な刑務所長と、カタギには手を出さないあたり胸のすく侠客に仕上がっている。いや、売人の女も殺してたか……そう言えば、卑怯で姑息な面もあるし、無断で屠畜をする三国人(朝鮮人)からショバ代を攫う狡猾、と思えば女郎屋で喧嘩して捕まるという衝動的で破滅的、トチ狂った一面も。彼の脱獄仲間も、米軍のジープにヒッチハイクしようとして轢き殺されるなど、「米軍も大概ひでぇ〜」という展開に笑ってしまう。ただ凶行もトコトンやるとコミカルでユーモラス、というバイタリティーに満ち溢れる。東映の特撮的なドカドカとアップテンポで効果音のようなシンセの入るモダンジャズ的なBGMもゴキゲン。