ボブおじさん

レイダース/失われたアーク《聖櫃》のボブおじさんのレビュー・感想・評価

4.1
こう撮れば映画は面白くなる。幼少期からカメラを回し続け、映画の全てを知り尽くしているスティーヴン・スピルバーグが作り上げた、若き考古学者インディアナ(インディ)・ジョーンズを主人公とした大人から子供までが楽しめる冒険活劇シリーズの第1作目。

次から次へとジョーンズに迫る危機また危機の速射砲。その歯切れのよいスピーディーな映像感覚で映画は大ヒットした。ジョージ・ルーカスがスピルバーグと手を結び、製作総指揮にあたった超大作。

1936年。ジョーンズは合衆国政府からある歴史的遺物の捜索を依頼される。神から授けられた十戒の石版を収めた聖なる櫃、〝アーク〟の捜索だ。伝説によるとアークを手にした者は無敵の力を発揮するといわれ、ナチスドイツがついにその埋蔵地点を発見したという。エジプトへ飛んだインディは、そこで恩師の娘であり、かつての恋人マリオンと再会するが、そこでナチスドイツと戦うことに……。

秘境を冒険してお宝を探すトレジャーハンティングとナチスという絶対悪との対決。つまり〝アドベンチャー〟×〝勧善懲悪〟を軸としたアクション映画。その中に神秘の力とラブロマンスを加えれば映画は必ず面白くなる。まるでスピルバーグ教授の映画講義を見せられているような、あっという間の2時間だった。

静寂と緊張の中でのお宝持ち出しトライ。慎重に手に入れたと思いきや⇒
見つかって、追われて、逃げる

文章にすればなんてことない描写が、スピルバーグの手にかかると、巧みな演出・編集・音楽でスリリングなアドベンチャー映画へと姿を変える。

人を驚かすには、〝タンクローリー〟も〝サメ〟も要らない。蛇が1匹いればいい。

巨大なセットを破壊しての大掛かりなアクションから狭い運転席の中での格闘まで観客が見たいものを次から次へと見せてくれる。まさにこれぞ〝痛快活劇〟‼︎

多少のあざとさは感じるが、どこの国のどの階層の人にもわかる映画を作るということはそういうことだろう。現に我々は、今でもスピルバーグの作品を楽しんでいる。

批評家や映画通から〝通俗的で深みがない〟と言われようが、シリーズは大ヒットした。そして本年、スピルバーグが製作総指揮した最新作が公開される。

それにしてもこの映画のラスト、なんとも言えない皮肉に溢れている😅


公開時に劇場鑑賞した映画を動画配信にて何度目かの再視聴。


〈余談ですが〉
最新作「フェイブルマンズ」で描かれていた〝地平線〟のくだり。確かに真ん中は少なかったような気がします😊

あと今回気づいたけど、トラックの中での格闘から落とされた敵がトラックの下敷きになるシーンは、完全にジョン・フォード監督の「駅馬車」へのオマージュですね!