りょう

キングダム II 第3章/第4章のりょうのレビュー・感想・評価

キングダム II 第3章/第4章(1997年製作の映画)
3.8
 ⅠとⅡで合計10時間弱の大作で、とても一気に観られる作品ではなく、それでも連休を利用して2日にわたって観ました。完結編が準備されていたからか、「これからどうなるのか?」というエンディングでしたが、まさかそれが25年後になるとは、当時は誰も想像していなかったのでしょう。「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の3倍近い歳月です。
 ほとんどモノクロのようなセピアで統一された映像が魅力的です。ここまでざらついた映像は観たことがありませんが、全体的な作風としては嫌いではありません。病院を舞台にした物語にありがちな医療現場のせわしい風景や“命の選択”のような倫理観に訴える描写を排除しているところも特徴的です。そもそも医師たちが日常的に診療している風景がほとんどなく、いわゆる“お仕事映画”の要素もありません。
 病院だけが舞台で、それ以外のシーンはほとんどありませんが、ヘルマーが偏屈極まりない主任医師だったり、ほとんどトラブルメーカーのような仮病患者のドルッセ夫人など、登場人物がたくさんいても、それぞれのキャラクターがはっきりしているので、物語にメリハリがあります。いわゆる群像劇でしょうが、全員が1つの病院の医師や患者などなので、必ずどこかでつながっているし、それを利用した連鎖的な展開が面白いです。それぞれのエピソードをバランスよく配置した構成がいいし、人の生死やスピリチュアルな要素がメインの物語でも、ところどころコントのようなコメディのような(本気でやっているのか不明ですが…)演出があって“ホッ”とさせられます。
 ラース・フォン・トリアー監督の作品をリアルタイムで観たのは、1996年の「奇跡の海」からですが、そこからはじまる怒涛の“奇作”を予感させる一方で、テレビドラマ用の映像からなのか、とても観やすい作品でした。ともかく、すぐにでも「エクソダス〈脱出〉」が観られるタイミングでよかったです。
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