デイジーベル

ゴースト・オブ・マーズのデイジーベルのレビュー・感想・評価

ゴースト・オブ・マーズ(2001年製作の映画)
3.5
「純度100%のカーペンター映画」

◯作品と概要◯
私達映画好きのボンクラを(語弊があるが)楽しませてくれる(救ってくれる)映画を撮る人、「ジョン・カーペンター監督」作品。かけたお金と面白さは比例しないという事実を私達に教えてくれる監督。スタイリッシュで豪華なセットのSFアクションを観たい人には違う作品をお勧めするが、余計な物を極力排除したシンプルな面白さを見たい人にはお勧め出来る作品だ。(″恋愛要素″や″家族愛″をとにかく入れたがる邦画や大作映画(語弊があるが)では決して味わえない、シンプルな面白さがこの作品にはある)

◯ストーリー◯
_(┐「ε:)_ 火星に植民地を築いた未来。囚人を護送する為に訪れた町はゴーストタウンと化していた…火星先住民族の亡霊と人類の壮絶な死闘が幕を開ける…!

◯感想◯
【火星ヘビメタ軍団VS警察+凶悪犯】
前半の何が起きているのかを解明するのと、凶悪犯との関係性の過程もそれなりに面白いが、後半の怒涛のバトルがやはり今作の見所だろう。(今時のスピーディーな切り返しのカメラワークや接写などを用いたスタイリッシュな映像とは一線を画すB級感に拘ったアクションシーンを堪能できる)前後入れ替わって銃を撃つシンプルな演出がカッコいいのだ。
普通の映画ならば、取り憑かれた人に対して「何とか助けられないのか」という″葛藤″が描かれるが、今作は「取り憑かれたら無理だ」と言わんばかりの″潔さ″で見捨てるのが素晴らしい。舞台が火星であるにもかかわらず、宇宙服とか関係無い所もきっと突っ込みたくなる事だろう。地味だがツボを押さえた俳優陣も楽しめる。ヒロインはエロスを封印した堅物スピーシーズ(ミラジョボビッチよりも断然格好良い)、髪が無い方が何故かカッコ良いステイサム兄貴、男気溢れるアナコンダのアイスキューブ、何故この設定?の頼れる隊長パムグリア、パラサイトの変わり者クレアデュヴァル。
ヘビメタバンドの″アンスラックス″とコラボした作品で、音楽は元より随所に″ヘビメタ感″が溢れている。ラストは勿論カーペンター作品らしく最高の″幕切れの美学″を味わえる。これはカーペンター節を貫くイデオロギー全開のSFアクションホラーだ!


◯雑記◯
残念な事にアメリカでは公開2週間で打ち切りとなってしまったが、短期間での打ち切りはカーペンターには良くある事ともいえる。むしろ「ハロウィン」が大ヒットした事が、今となっては異常だったのかも知れない。(´ω`)