Maki

コーヒー&シガレッツのMakiのレビュー・感想・評価

コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)
3.3
 モノクロの映像と個性的なキャストたちがコーヒーを飲みながら会話だけで織りなされる人間讃歌。
オムニバス形式のいくつかのストーリーの中で一番好きなのは、イギー・ポップとトム・ウェイツの大物ミュージシャン二人の会話。どうやら個人的には初めて会い会話する様子の二人。日頃はちゃめちゃなイメージのイギー・ポップが微妙に礼儀正しくしてるかと思えば、「この店にはよく来てる。」と話すトムに「君の曲ジュークボックスに入ってないね。」と早速地雷を踏んでトムをムッとさせたり、ギクシャクした空気をなんとか取り繕って、「会えて良かったよ。これからも付き合ってこうよ。」とイギーが一応また礼儀正しく挨拶して握手を交わし立ち去る様子もなんだか笑えてくるが、一人店に残されたトムのその後の行動もまた思わず肩をぽんぽん叩きたくなる。
どのストーリーも派手な展開はないけど、健康の話をしながら煙草をぷかぷか吸いコーヒーを飲む登場人物たちの台詞は日頃の暮らしぶりや、けっして何の悩みもなく生きていける社会ではないことも風刺していて、コーヒーのようなほろ苦さの味わいある作品。
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