ななし

殺しの烙印のななしのレビュー・感想・評価

殺しの烙印(1967年製作の映画)
4.0
「ジョン・ウィック」の先祖みたいな映画。「殺し屋ランキング」ってなに。

絵づくりがアバンギャルドかつ編集のリズムが独特(唐突?)なので、慣れるまで物語に集中するのは難しい。まあ、ただ殺し屋同士が殺し合うだけの話といってしまえば、その通りではあるのだが。

冒頭のパート、「なんか既視感あるな」と思ったら、まんま冒険小説の古典『深夜プラス1』(ギャビン・ライアル)だった。アル中のパートナーと要人の護送任務するってところがまったく一緒。

中盤、主人公の殺し屋・花田(宍戸錠)がなんて説明していいのかわからないのだけど、スクリーンの半分を覆うほどの鳥やら雨のイラスト(?)から逃げ惑うシーンがある。花田の心象風景なのか幻覚なのかはわからないんだけど、このシーンの異質さというか唐突さがなんとも気持ち悪くて、鑑賞中、ぞーっと鳥肌が立った。もの凄いインパクトなのは間違いない。

終盤、殺し屋ランキング1位の大類(南原宏治)──最初に護送した要人が"組織"とかいう正体不明の軍団の差し金で花田を殺しに来るのだが、なぜかふたりで鉄砲向け合いながら同居生活をはじめるという、いまのアニメか漫画にありそうな展開が唐突にはじまってびっくり。しかも、このセクションがめちゃくちゃ笑えるという。ほんとなんなんだこの映画。

正直、半分も理解できているか怪しいし、この手の「芸術映画」はあまり好みではないのだけど、なぜか本作だけはわからないなりに楽しめたという実感がある。変な映画だ。
ななし

ななし