ホラー映画エンジョイ勢

炎628のホラー映画エンジョイ勢のネタバレレビュー・内容・結末

炎628(1985年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

映画として好きだとか嫌いだとか言えません…
なのでスコアどーしよ状態ですが、人間の中身に言及するような、言葉ではないメッセージがとてもとても伝わってきたので、作品としての私の印象スコアです。

もう100回くらい言ってそうですが、本当にこういう映画を観ていると自分が怖くなります。

最終盤、パルチザンにナチスの兵が捕まった辺り。ここまでで散々溜まったナチス兵士達への怒りや恨みが一気に押し寄せます。
生きたまま焼かれるのが辛いから殺してくれと叫んだ男を笑った奴
すし詰めの人間の中に手榴弾を投げ込み、火をかけて笑った奴
そんな奴らが生きながら焼かれる時、何を言うんだろう、さぁ見てやろうじゃないか、と。
ところが、炎がかけられる直前に村人に撃ち殺されてしまいます。
ここで気付かされるんですね。「あっさり殺されてしまったことにガッカリすらした自分は、奴らと何が違うのか?」

おそらくなんら違いはなく、そしてそれは私だけでなくどんな人間の中にも潜むのかもしれません。きっとそうなんでしょう。
戦争が悪い、全て戦争のせいだ。では戦争を起こしたのは悪魔か?人間です。
ではそんな人間なんてもはや産まれた瞬間にころすべきなのか?
人間なんて皆しんじまえばいいのか?

そこまで考えさせられた所でーー
フリョーラは引き金を引きませんでした。

人間ってなんなんでしょう。
他人の苦しみを屁とも思わず信じられないほど残酷にもなり、心が満たされ生きていて良かったと思うような何かを他人に与える存在にもなり、そしてそれは同時に起こったりもしているという。

人間がもたらす”戦争”というものの現場は地獄に他ならなく、そして地獄をもたらす素質が自分にも秘められているという事からは、目を逸らしてはいけない気がします。

蝿の羽音、牛の目、炎、掠れたパイプの音色……