似太郎

断絶の似太郎のレビュー・感想・評価

断絶(1971年製作の映画)
5.0
『イージー・ライダー』や『バニシング・ポイント』をよりアートっぽくした雰囲気が相当異色のニューシネマ。前衛的映画作家モンテ・ヘルマンの面目躍如な一作となった。

物語性を徹底排除し、ひたすら3人を乗せた車でダラダラと移動するのみ。台詞が無く、やたら風景のみが延々と垂れ流される。ヴィム・ヴェンダースや青山真治の映画などにも通じる虚無的でニヒルな作風が特徴。

監督の中の心象風景というか、当時のアメリカの「負」のムードが濃厚であり万人ウケすら要素はほぼ、ゼロである。(今だったらヴェネチア映画祭なんかで金獅子賞獲ってもおかしくないクオリティだとは思う)。

主演のジェイムス・テイラーと元・ビーチ・ボーイズのデニス・ウィルソン、ローリー・バードというフレッシュな3人組が居場所を模索する若者達を好演。ウォーレン・オーツ、ハリー・ディーン・スタントンも脇役ながら強烈なインパクトを残す。

70年代という「鬱屈した気分」を味わいたい人には打って付けのロード・ムービーであり、やたら観念的な『頭文字D』みたいな印象も。🏎💨
似太郎

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