タランティーノやジム・ジャームッシュ、ヴィンセント・ギャロへと脈々と受け継がれる作風の原点がここに。
ゆで卵を頬張るウォーレン・オーツ…
女の子を口説こうとして撃沈するウォーレン・オーツ…
ヒッチハイカーを助手席に乗せては自分の素性のホラ話ばかりして無視されるウォーレン・オーツ…
とにかくウォーレン・オーツ萌えが止まらない逸品。
私にとっては本当に愛おしい作品になったが、ただ同じアメリカンニューシネマの代表作である『イージー・ライダー』がどこのレンタルショップにも在庫があるのに反して、本作がほとんど置かれていないという現実も頷けるには頷ける“偉大な失敗作”といえよう。
主演のジェームス・テイラーが本作に対して「演技ではなく、そこに起こったことを撮る。モンテ監督は一種のドキュメンタリーに近いものにしたかったんだ。」と語っているように、本作はウォーレン・オーツにだけ脚本を渡し、後は即興演技を求めていくつものテイクが重ねられたので、起承転結がほぼなく作品全体がのっぺり平坦。ただ、それ故に劇中の演者たちのやり取りや佇まいはあまりに自然でもはや演技とは思えないレベルに達しています。
撮影は映画の流れと同じようにLAからワシントンDCへと移動していった。当時の時代の空気、匂いのようなものまでみっちり捉えられた撮影のジャック・ディアソンの仕事ぶりはもっと褒め称えられても良いのではなかろうか。