Jeffrey

血は渇いてるのJeffreyのレビュー・感想・評価

血は渇いてる(1960年製作の映画)
3.0
‪「血は渇いてる」‬
‪冒頭、公衆トイレで拳銃を出す男。リストラされる社員。そこに男、木内が現れ自殺未遂。煙が上がり塵溜めの荒涼とした土地で暴力、自殺を売物に、宣伝、撮影、TV出演…本作は吉田喜重の二作目で一九六〇年の作品で、今思うと一期上の大島渚と仲が良かった吉田の本作を七月公開され、同年の六月に大島の青春残酷物語を松竹から上映していたんだなと改めて気付く。物語は会社の解雇により、拳銃自殺でソレを阻止しようとした会社員の佐田啓二演じる木口が失敗し、マスコミが一気に彼に注目をする。そこで木口にすり寄ってきた一人のキャリアウーマン吉村真理演じる野中ユキが木口を広告塔に起用し、ビルには彼の巨大な看板が貼られる。町にはこめかみに銃を突き付けた木口の顔写真があふれ、昨日とはまるで異なる日常へと変貌するが、彼もまた変貌したのだ。そこへ彼を叩き潰す機会を狙う原田の存在が現る。彼は木口の妻にすり寄るのだった…本作は所謂三つ巴の戦いである。まず木口、保険会社宣伝部の野中、曝露屋の原田の葛藤が本作に現れ、これらを軸に物語は展開して行く。欲望に満ちたこの関係が面白く、状況の変化にそれぞれが翻弄して行く。勝ち負けが重要だったのか…とラストまで観ていたらそう思った。‬これは凄い内容で自殺未遂した男を異色タレントに伸し上げた仕事女が自分のコントロール下にするも、マスコミの巨大な力が暴走し、それを叩き潰す曝露屋の男と女な駆け引きが血みどろなエネルギーを感じさせ、不毛の地を見事に都会で映した秀作だ。‬また巨大宣伝ポスターが昭和生命ビルに貼られる画はインパクトがある。そしてそのポスターが剥がされる時、誰かの命が途絶える。‬
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