けーな

ブローン・アパートのけーなのレビュー・感想・評価

ブローン・アパート(2008年製作の映画)
3.4
とても評価が低いけど、そこまで悪くなかったかなと思う。しかし、この映画のキャッチコピー『テロ事件の裏に潜む驚愕の真実とは?欲望と心を引き裂く、愛と裏切りのサスペンス』が、良くない。テロ事件は、許しがたく、悲劇以外の何物でもないが、サスペンスというほどの物ではなかったし、欲望や愛や裏切りと言っているけれども、その描き方が、中途半端で、結局、この映画で、言いたいことが何なのか分かりづらいから観た者の心を掴まないのだと思う。

ミッシェル・ウィリアムズが演じている、愛する息子をテロで亡くして、正気でいられなくなる母親の姿は、見事だったと思う。しかし、そこを中心に描きたいのなら、不倫は、必要ないと思う。不倫をしていた負い目や後悔もあるっていう複雑な気持ちを描きたかったのかもしれないが。現実に、あんな風に、ユアンに声を掛けてもらえるわけじゃないし(笑)。ユアンも、チャラい男として出てきたのに、急に、一途な男になるのも不思議。

元になる小説が存在する。クリス・クリーヴの「息子を奪ったあなたへ」という小説だ。そちらでは、どのような描き方をされているのか、気になる。

テロ事件後、医者の勧めで、セラピーの一環として、オサマ・ビンラディンに手紙を書くという設定になっている(実際に発送するわけではない手紙)。それが、この映画の肝なのかもしれないのだけれども、オサマ・ビンラディンに手紙というのが、どうも無理を感じて、入り込めない一因だった。

原題は、「Incendiary」で、爆発物とか焼夷弾という意味。映画で起きたテロ事件の爆発のことだろう。邦題は、なぜかしら「ブローン・アパート」。この邦題の意味が、よく分からない。
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