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男はつらいよ 幸福の青い鳥のmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.7
今年最後までいけるかな、いけるのはいけるでなんかすでに寂しくなってくる、、、寅さん。

『男はつらいよ』シリーズ、第37作目。

“幸福の青い鳥”。
珍しく冒頭の夢物語で露骨な展開、青い鳥が出てきた、寅さん捕まえた、、、というか、そんなに青光りして、、、冒険の末の桃源郷か何かか。

その夢に突然現れる車掌、「お客さん、乗車券を」、これまた露骨なコントになるが、その後の夢から覚めてからも車掌との無茶苦茶な“親切の押し売り”展開も含めて、セットで笑う。

さすがは寅さん。いつも通り、キレッキレのおとぼけ。

「幸せは自分で掴むものです」
夢でのひろしの必死に伝えてくるセリフ。

ここまで寅さんシリーズ観てくると、この冒頭の夢物語の寓意がその作品の全体のメッセージに繋がる回が多いことに気付く。
今回はこれがテーマな気がする。

実際、最初のとら屋の茶の間でひろしが隣の工場でずっと働き続けることが良いことなのか、という投げかけがあったりする。

自分の人生や自分に関係する人生模様を少し案ずる展開。

だけども、寅さんはいつも通り、どこ吹く風。
最新なるテキヤのコンピューター占いで南の方角に出会いがあると南へ、、、こういう人生の選択、マジで憧れる。

九州福岡。
歴史がありそうな風格ある旅館に立ち寄り、昔の思い出を使用人と語り合ってると、その昔話に出てきた女性と鉢合わせ。

そこで再び盛り上がって、何かあれば葛飾柴又のとら屋を頼れ、と旅先で別れる。
寅さん、もはやこれで何度目かという恋路の始まり。

志穂美悦子、日本の美人、と言う感じ。
儚げだけど、逞しさというか、しっかりしていて素敵な女性。

案の定、彼女がとら屋に来るが、すれ違い。
それが元で、彷徨う彼女と出会う男、、、長渕剛。やっぱり、カッコいいな、この人。

気さくな男だけど、質素な生活の中でどこか夢や自由を感じる男。ハーモニカ、もはや素人の領域ではない。
こういう人とこういう生活、昔だったらこんなのも良いなと思える。

今回の寅さんは、この志穂美悦子に惚れてないと言い切り、彼女に職探しと婿探しのお節介をし始めるが、、、。

タコ社長、ここ最近、ちょっと痩せたな。昔の恰幅の良さと勢いが少し衰えた気もしないでもない、、、時の流れを感じる。

そんなタコ社長やおじちゃん達にも“余剰人員”扱いの寅さん、ホント面白い。こんな言われようでも会話が成り立つとら屋の日常が素敵で愛おしい。

世話焼きの寅さん、、、惚れてんのか、惚れてないのか、志穂美悦子が働き出した中華料理屋で、気付くと岡持ちしてる寅さん、面白すぎる。

長渕剛と志穂美悦子の公園のシーン、長渕剛のハーモニカと、水飲み場を噴水みたいに見立てる画角、めちゃくちゃ素敵で温かみがあるシーン。

この2人の関係、トレンディという言葉では片付かない色んな思いが交錯してて生々しく哀愁が漂い、なんかちょっとリアルで共感できる。

笹野武史、急に出てきて寅さんに管巻かれて笑った。

やっぱり何年、何作経っても唯一無二の突破力、風天の寅さん。
最後の“婚姻届”は何かグッときた。

長渕剛のハーモニカと、寅さんのおもちゃの鳥の笛。今日はどこ吹く風か。

「俺のお前はお風呂のおならだよ、、、前にも後ろにも生き別れってな」
自慢の兄さんになりたくて、今日も涙の日が落ちる。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
https://community.discas.net/announcements/ib1wyncr43idknqm
別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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