アキヒロ

真実の行方のアキヒロのレビュー・感想・評価

真実の行方(1996年製作の映画)
4.0
めちゃめちゃ面白い。
ちょっと見るつもりが、先が気になって全部見てしまった。

神父が惨殺され、現場から血塗れの青年が逃走した。
その様子はTV中継され、世間の注目の的に。
拝金主義の弁護士マーティンは弁護を受け持ち、容疑者アーロンと話をするが、無実だと確信し証拠を集め始める。

途中、アーロンが二重人格だということが発覚し、アーロンの第二人格ロイが表に出てくる。
実はアーロンはセックステープを神父に撮られており、その仕打ちの復讐にロイが神父を殺したのだった。
しかし、法廷はすでに「第三者殺人説」で動き始めており、変更は効かない。
そこで、マーティンはアーロンを証人喚問に出させ、あえて検事側にセックステープのことを質疑させ、それに激怒したロイの人格が法廷で暴れ出した。
全ては、ロイの人格を法廷で明るみにし、「心神喪失」を証明するというマーティンの思惑どおりだった。

最後、ほぼ無実が確定したアーロンにマーティンは「安心しろ。死刑は免れた」と声をかけた。
すると、アーロンは「それを聞いてほっとしたよ。ところであの女検事に謝っておいてほしい。首は大丈夫か、と」と言う。
マーティンは拘置所を去ろうとしたとき、ふと疑問が浮かんだ。
「アーロンはロイに人格が移ったはずなのに、なぜ検事の首を折ろうとした記憶があるのか?」
それを指摘すると、アーロンは拍手をし「実はアーロンなんて人格はない。俺はロイだ」と語るのだった。

黒い金で荒稼ぎしていたマーティンの目は、とうの昔に腐っていた。
「愛と裏切りは紙一重」とロイの哄笑が響き渡る。
どんでん返しが冴えたラストで、驚愕した。
論理的展開光るリーガルサスペンスで飽きさせない。
ただ、最後の検事側に質疑させ第二人格を無理やり引出させるという乱暴さはロジックとは遠いところにあったと思う。
そういう意味では、これは冷静な論理サスペンスというより、詭弁のサスペンスだと思った。
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