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太陽の季節のぴろのレビュー・感想・評価

太陽の季節(1956年製作の映画)
1.3
故・石原慎太郎氏の代表作の映画化。未熟な若者たちの享楽的な生活が描かれる。

男も男だが女も女。観ていて腹が立つガキばかりだった。
「人を愛することができない」?当たり前だろう。人を愛するには、自分自身のことはもちろん、相手の気持ちや人生をも背負って生きていく力と強さがいる。楽しいことだけじゃなくて、悲しいことや辛いことも共にしていく覚悟と責任。それらを持ち合わせている人のことを、我々は「大人」と呼ぶ。
他人どころか親がいなければ自分自身のことさえままならない子供には、「愛」なんて分からなくて当然だ。ましてや遊んでデキた子どもに責任を持てるはずもない。
それで俺は自由だ!なんて勘違いして粋がっているのだから仕方ない。ただ力がないガキなだけなのに。太陽族も現代の不良も、向上心のない若者は皆、自分の責任から逃げているだけであることに気付けよ。

本作は別に石原慎太郎氏の実体験をもとにしている訳ではない。しかし彼もまた、竜也らと同じ時代で青春を過ごしてきたはずだ。私は、石原氏もまた本作のような「若気の至り」を経験していたのではないかと疑っている。
YouTubeの切り抜きなんかで見る石原氏の姿は、真っ直ぐな信念があってカッコよく見える。しかし或いは、その裏には、1つの価値観からしか世界を見ない昭和的な頑固さや、その「美しい世界」と反する自身のちょっとした過去の言動を都合良く忘れてしまえる図太さがあったのかもしれない。


【メモ】
○雑誌掲載時、題名の横に、「健康な無恥と無倫理の季節! 眞の戦後派青年像は生れた」というキャッチコピーが付され、単行本が刊行されると芥川賞受賞も相まり、ベストセラーとなった。なお、この時代は神武景気といわれる好景気で、1956年(昭和31年)度の「経済白書」には、「もはや戦後ではない」という文言が記された時代であった。単行本・文庫本を合わせた現在までの発行部数は100万部を越える。(Wikipedia)
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