性的欲求が導く裏の世界
見事なクローネンバーグ・ワールド。身体破壊をはじめ、現実と幻想の境界の曖昧さ、人間の欲望と理性の対立をサイコロジカルホラーとして視覚的に襲ってくる。難解で悍ましいけど、どこか中毒性のある変態映画。リック・ベイカーの特殊メイクは必見。
「ビデオのホラー」といえば『リング』を真っ先に思い浮かびますが、本作と『リング』には似た恐怖があります。ジャンプスケアではない、少しずつゾクゾクッと迫ってくる恐怖。おそらく『リング』に影響を与えているのかな?
そしてその後は、そんな恐怖を覆す怒涛のゴア、グロ。ブラウン管テレビがグニャグニャ、手と銃が合成、脳がグチャグチャ、肉片ビシャー。ボディホラーとして視覚的に大成功です。
情報の過剰消費やメディアの支配には気をつけろ、というクローネンバーグによる反面教師映画でもありました。
2024.3.17 初鑑賞