マーくんパパ

わが青春のフロレンスのマーくんパパのレビュー・感想・評価

わが青春のフロレンス(1970年製作の映画)
3.6
題名からもE.モリコーネの甘美なメロディからも激しい恋の物語と思いきや、フィレンツェを舞台とした反政府闘士らの激しい闘争と迫害の物語でした。1880年出所したアナーキストの妻が子を産んだ直後に疲れで亡くなり、男もじきに川の事故で亡くなる。遠い親類の元で育ったメテッロ(原題はこれ)が意思を引き継いで社会主義運動に身を投じていく。その間、レンガ積み工しながら農家の女(L・ボゼー)や同じ境遇の闘士の娘(O・ピッコロ)との恋や結婚、アパート隣室の女(T・オーモン)との過ちを織り交ぜていくがあくまで主旋律は当時、マルクス主義に啓蒙された労働者階級の目覚めと階級闘争。フィレンツェの石畳街並みや燻んだ光の室内など時代感を映し出した撮影がすこぶる美しいのと、ピッコロがいつもの恋に奔放な女ではなく芯の強い闘争家妻をひっそり演じている所が買いです。