ENDO

文化果つるところのENDOのレビュー・感想・評価

文化果つるところ(1951年製作の映画)
4.2
コンラッド原作でオルメイヤーと名乗る現地の貿易商の娘の名はニナ、つまり最近リバイバル上映されたアケルマン『オルメイヤーの阿房宮』からの換骨奪胎。とにかく騒々しいオープニングの人物達の動きに圧倒されつつ、物語は身動きの取れないノワールへ。リンガード船長(複数のコンラッド作品に登場する人物)の計らいで罪から逃れて、船では到底辿り着けない難所である暗礁の先にある村へと逃れたハワード。この秘境へのルートの開示がサスペンスを駆動する。カリマ演じる村長の娘アイサに惹かれてゆく。男の作り上げた理想の女性は打算的に振る舞うだけで悪女として描かれる。男の身勝手さだけがより浮き彫りとなる。また先住民を庇護する者として独裁的に振る舞う船長もいけ好かない。差別的でどこまでも自分の欲望に忠実な主人公が土砂降りの中頽れる瞬間、一度奪われた土地は二度と戻らず、船長を殺しても何の解決にもならないことを知り、ハワードを哀しげに見つめるカリマの虚ろな視線に泣いてしまいました。あまりに映画的なラスト!好き!
ENDO

ENDO