ユカリーヌ

火 Heeのユカリーヌのレビュー・感想・評価

火 Hee(2016年製作の映画)
3.3
【過去に観た映画】2016.9.9

渋谷のシアター・イメージフォーラム。

中村文則原作の「火」を
桃井かおりが脚本・監督・出演した作品。

異国の地で日本人の女が精神科医の前で語るというシーンがほとんど。その女が桃井かおり。

時折、精神科医の日常の映像や女とその男の映像がはさみこまれるが、精神科医は女の前では
ほとんど話さない。
かといって、女の話を真剣に聞いている感じでもない。
そのかみ合わなさが、意図したことのようだ。
そして、最後の方で容疑者としての女。この女は狂っているのか、いないのか。

語る演技はその人の個性が出るけれど、聴く演技って難しいと思う。
きちんとウケられているかどうか画面から伝わって来るものね。

女優としての桃井かおりを全編から感じ取れるから、桃井ファンにはたまらないであろう
一本だが、映画としてどうなのかと問われると、
踏み絵のような映画である。
インテリジェンスな映画というのかな。

桃井かおりの感性が集約されているという感じか。
こういう手法もありなのね。

後でパンフで読むと、10日間の撮影だったという。
原作も台詞だけで構成されているが、映画もほぼ 桃井かおりの独白という形。
桃井かおりは直前まで台詞を入れず、自然体で話すのだそう。
正に桃井かおりならではの製作方法か。

パンフには作者と又吉のインタビューも掲載。
パンフの裏からはシナリオになっている。

ものすごい改訂の入っているシナリオ。
現場で進化していくという感じの撮り方。登場人物やタイトルも変わって行く。

原作本は「銃」に収録。
映画の後に読み返してみた。
ユカリーヌ

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