このレビューはネタバレを含みます
人間存在のちっぽけさ、その限界をシリアスにまざまざと見せつける。
往々にしてある「神の沈黙」というテーマ。
果たして我々がすがる神という存在は絶対的なのか。転じてその不在すら思い込む。
神が介在せぬような人間の業が入り込むのがこれまた脚本の妙である。
はたまた人間の存在こそ絶対的ではなく、生と表裏一体にある死の絶対性が生を狂わせる。
妻の死により諦念を抱く聖職者は神に救いを求めた信心に寄り添うことが出来なかった。それこそが揺るがぬ事実であり、ラストカットにやるせなさが溢れる。
その希望のなさは寒々しい冬の寂寥たる風景と強く結びつく。