広島カップ

人間の広島カップのレビュー・感想・評価

人間(1962年製作の映画)
3.0
伊豆大島の港を出て近くの島に行き石を積んで帰る予定だった小さな船。港を出た後ほどなくして嵐に会う。大荒れの洋上で船に乗るのは男三人女一人(殿山泰司、佐藤慶、山本圭、乙羽信子)。
嵐にやられ舵が壊れマストが折れエンジンが止まった。
そういうシュチュエーションになるまでが開巻から10分そこそこで作品は全体で116分。つまり約100分は漂流し水や食料に苦しむ船上の危機的状況における人間模様がじっくり描かれる。

彼らにはザバイバルのための詳細な作戦が無くて、生きる為に信念を持つということだけしかない。その辺りがストーリーとして少し物足りないし音楽もジャズなんか流してどことなく脳天気。金比羅さんに願掛けしたら雨が降って来たりしている始末。

緊急時を生き抜く為に最善を尽くすかというとそうでもない人間。仲間割れをしたり限りある食料を無駄にしたりしている。

先日、緊急事態宣言中に不要不急ではない用事があって上野に行ってきた。
上野から御徒町にかけてJRの高架下周囲の飲み屋が平日の昼間から酒を提供していた。客が結構入っていて老いも若きも大声で笑って楽しそうに会話をし騒いでいた。
飲食店の経営が危機的な状況であり都側も大した救済措置を取らないので生き残りをかけて酒を提供しているのはある意味理解はできる。
しかし客は食物を口に運ぶ時以外はマスクをしたらどうなのか。もしかしたら誰かにウイルスを移して殺すかもしれないし貴方自身が苦しんで死ぬかもしれないのだ。
この病にはそうした特徴があるのだ。
すぐ隣の席で盛大に飛沫を飛ばして酒宴をしている一団がいても何の心配も無く呑気に酒を呑んでいる人達の気持ちが理解できない。
飲食店を救う為にも尽くすべき最善のやり方があると思う。
赤ら顔の酔っぱらい相手に意見をする勇気もなく通り過ぎたがイヤなものを見た気分だった。

本作の人間を思い出した。
良し悪しは別にして人間は元々こうした存在なのであり、それを想定に入れていない危機管理施策で緊急事態宣言を解除することに不安を覚える。
広島カップ

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