【第11回カンヌ映画祭 監督賞他全三冠】
イングマール・ベルイマン監督作品。カンヌ映画祭では監督賞、女優集団演技賞、特別国際賞を受賞した。
産院で同室になった境遇の異なる三人の女を描いた作品。イングリッド・チューリン、マックス・フォン・シドーら常連俳優が出演。
ベルイマンにしては会話が多く分かりやすい作品。一方で「夫婦とは何か」「女とは何か」というベルイマンらしい問いを持った作品でもある。ベルイマン入門としてとてもいい作品ではないだろうか。
死産し離婚しようとする女、家出し認知しない男の子を孕んだ女、夫婦仲が良く子供を待望する女、そして彼女らの面倒をみる看護婦長の四人が繰り広げる人間ドラマ。鋭い観察眼で描かれる男女の愛と女たちの絆が素晴らしい。
終盤の展開は非常に残酷で辛い。それでも僅かな希望を残したラストがいい。四人の女性たちはそれぞれ異なる立場にありながら、相手の境遇に身を寄せる。厳しくも暖かい描き方がとてもいい。
全て病室内で起こる物語なのだが飽きない展開力はさすがベルイマン。四人の女優は控えめながら的確な演技。ベルイマンにしては設定が少し作られすぎているが、過不足のない秀作と言える。