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多羅尾伴内 鬼面村の惨劇のもとまちのレビュー・感想・評価

多羅尾伴内 鬼面村の惨劇(1978年製作の映画)
3.4
鬼面村で巻き起こる惨たらしい殺戮に、多羅尾伴内が立ち向かうシリーズ第二弾! そのあまりにもグロい殺人描写に観客側が着いてこれず、小林旭版『多羅尾伴内』は本作を以て打ち切りとなってしまったらしい。個人的には惨殺シーン自体にそこまでのインパクトは感じなかったものの、猟奇趣味においては前作を軽く飛び越えるレベルのヤバさ。冒頭、全裸白塗り女の超怖い前衛ダンスをバックにスタッフクレジットが始まり、観る者を早くから置いてけぼりにする。原色を使ったケバケバしいライティングや、薄気味悪いデザインの和人形など、トラウマ的なおどろおどろしい演出が効果抜群。短い尺の中で次々と胡散臭いキャラクターが登場するも、数分後には血みどろ死体へ早変わりしている展開もすごい。ピッチフォーク串刺し、ピタゴラスイッチ風首吊り殺人、死体にたかるウジ虫のアップといった、横溝ミステリの皮を被ったグランギニョールが勢いよく繰り広げられる。脚本自体はグズグズだし、多羅尾伴内も前作ほどの活躍はしないのだが、全編を纏うアングラっぽい異色の雰囲気が、本作を色んな意味で忘れがたいものにしている。
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