櫻イミト

メリィ・ウィドウの櫻イミトのレビュー・感想・評価

メリィ・ウィドウ(1934年製作の映画)
4.0
有名なオペレッタ「メリー・ウィドウ(陽気な未亡人)」をMGMで3度映画化したうちの2作目。お洒落なラブコメ・ミュージカル。監督は「ニノチカ」(1939)などのエルンスト・ルビッチ。

ヨーロッパの小国。国の全財産の半分以上を所有する大富豪未亡人ソニア(ジャネット・マクドナルド)がパリに出かける。それを知った政府は、彼女が国外で再婚して財産が流出したら一大事と、プレイボーイのダニロ伯爵(モーリス・シュヴァリエ)をパリに派遣、彼女のハートを射止めて連れ戻すように命じるのだが。。。

ルビッチ監督ならではの艶笑コメディが、ゴージャス極まりないセット(アカデミー賞美術監督賞受賞)、ミュージカル(作曲は「サウンド・オブ・ミュージック」のリチャード・ロジャース)と共に楽しめる。

メリー・ウィドウ・ワルツを大量のダンサーたちが踊るシーンは壮観で、一番の見所。白と黒のドレスが円を描く様子はまるで夢の世界のよう。このシーンはヒッチコック監督の傑作「疑惑の影」(1943)で音楽と共に引用され物語の軸となっている。

ヒロインのドレスの色が、黒→白→グレーと、恋心に沿って変化していく演出も良かった。恋の駆け引きのストーリーはいつもに増して鮮やかで、コメディパートも冴えていると感じた。

良作の多いルビッチ監督の中でも、特にゴージャスでエンタメ度の高い一本。

※主演は「ラヴ・パレード」 (1929)と同じくモーリス・シュヴァリエ&ジャネット・マクドナルド。
櫻イミト

櫻イミト